こんにちは。うにぺこです。
「訪問看護ってめっちゃきつくない?」「思ってたよりすごい大変!」
在宅医療の需要がどんどん高まる中、訪問看護の現場で働く看護師さんから、よくこんな声を耳にします。訪問看護はとても素敵なお仕事ですが、独特のきつさがありますよね。
今回は、訪問看護がきつい!といわれる理由について、詳しくお話したいと思います。
私は、11年の看護師経験のうち、3年間訪問看護ステーションに勤務し、訪問看護師をしていました。実際に働く中で自分が感じたり、周りの看護師から聞いた話を含め、
- 訪問看護がきつい!といわれる理由1:夏は酷暑、冬は極寒
- 訪問看護がきつい!といわれる理由2:平日の休みにくさ
- 訪問看護がきつい!といわれる理由3:心が休まらないオンコール当番
こちらの3点について、詳しく解説していきます。
この記事を読めば、なぜ訪問看護がきつい!といわれるのか、転職サイトではわからない、現場のリアルが、あなたもきっとわかるはずです。
訪問看護がきつい!といわれる理由1:夏は酷暑、冬は極寒
病院勤務から、訪問看護へ転職した看護師さんが、最もきついと感じるのはこちらではないでしょうか。
病院って、空調がきちんと整っていますよね。患者さんに最適な環境を提供しなければなりませんから、夏は冷房、冬は暖房が効いていて当たり前ですよね。
では在宅って、どう?結論、エアコンのないご自宅も非常に多い!(´;ω;`)
また、病院内では、検査室に行こうと、お隣の病棟に行こうと、どこでも空調が完備されています。しかし訪問看護は、車もしくは自転車で外をまわるお仕事。そう、野外をまわるといっても過言ではないのです。
私たちが実際に経験する、きついエピソードといえば、
- 夏の冷房のない自宅で、滝汗をかきながらのケアになる。
- 冬は凍えながら訪問に向かう。
- 訪問が終わる度に戻る社用車は、夏は酷暑で冬は極寒。急いでエンジンをいれる。
また、夏場に限っては、エアコンがあっても「今日はそんなに暑くないかなと思って」と言って、冷房をつけない高齢利用者さん、とても多いです。
これは夏場の熱中症問題として、非常に大きな社会問題ですね。「昔はエアコンなんてつけなかった」という習慣から、何十年と過ごしてきた自身の生活習慣を変えることが、難しいのだと思います。世界中で温暖化問題が叫ばれる中、高齢者が時代に取り残されてしまっているようにも感じます。
対して、寒がりな利用者さんも多く、冬はエアコンとストーブでがんがんに暖をとる方もいらっしゃいます。室内の乾燥、換気をしないことによる感染症リスク、また灯油ストーブによる火災リスクなど、危険もたくさんですね。
こういった環境に、訪問看護は基本的に1人で訪問し、対応しなければなりません。
クリミアの天使、近代看護の母といわれた、あのフローレンス・ナイチンゲールは、看護における環境整備の重要性を、こう説いています。
「『環境』は、物理的・精神的・社会的環境から成り立っている。とくに健康的な環境で生活することが健康につながり、換気、日光、暖かさ、臭気の調整や騒音の抑制などが主要な5要素」だと。
病院という守られた環境ではなく、「自宅」という独自の環境で療養する利用者さんたちへ、できる限り最適な環境を提供しなければならない、訪問看護。
利用者さんを守るためにも、看護師自身を守る熱中症対策グッズや、暖をとるグッズの準備も必要ですね!
訪問看護がきつい!といわれる理由2:平日の休みにくさ
訪問看護は、基本的に平日月曜日~金曜日に、利用者さんの訪問スケジュールが決められ、訪問・サービス提供していきます。
病院勤務から比べると、「念願の土日休み!」「予定が立てやすい」と、うれしい面もありますよね。
しかし、平日にお休みがとりにくいのも事実。
訪問看護は、ケアマネージャーの作成するケアプランの一部として、サービスを提供していきます。
そのケアプランにそって、利用者さんへサービス提供をしなければならず、その曜日・その時間に利用者さんは訪問看護師を待っているのです。
たとえば、「月曜日の10時から看護師さんが来るから、これとこれを確認しよう」「火曜日の16時から看護師さんが来る。週に2回のお風呂だもの、楽しみだわ。」
こんな感じで、利用者さんはあなたを待ってくれているのです。利用者さんとの関係性ができあがっていくほど、私用で休みたいなんて、言えない。きつい。(笑)
毎月カレンダーを見れば、祝日もある。祝日分の訪問スケジュールも、祝日前後に振り替え、調整をしていきます。GWや年末年始休暇は、みんな大慌て。
私が一番きつい!と感じたのは、子どもの急な体調不良で仕事をお休みしたいとき。子どもっていつから保育園に行けるかも、正直わからないですよね。今日の訪問の調整を上司に依頼したり、明日の訪問も調整したり、、。熱で顔が真っ赤な子どもの横で、いつも頭をフル回転(´;ω;`)
また、家族や友人と旅行に行きたい!といっても、土日を含んだ連休をとることも、なかなか希望を言いにくい現状がありますね。「病院の時は、今日休みます!のひと言で済んだのに。」「病院の時は、休み希望ばんばん書けたのに。」これが現場のリアルな声です。
しかしながら、この休みにくい状況が当たり前であってはいけませんよね。各事業所で「夏季休暇」「特別休暇」「子どもの育児・看護休暇」「介護休暇」など、従業員が休めるように調整している看護ステーションも多いはず。
利用者さんへのサービスが途切れないよう、同じチームの看護師同士うまく声かけ、休みの調整ができるようにしていく必要がありますね。
訪問看護がきつい!といわれる理由3:心が休まらないオンコール当番
訪問看護のオンコールとは、簡単にいうと、利用者さんが体調不良を感じた時などに、訪問看護師が緊急出動するための、電話当番のことです。いつでも対応できるように、自宅で待機をします。
「夜勤頑張って稼ぐぜ!」という、看護師なら誰もが思ったことのあるはずであろう、この感覚。訪問看護におけるオンコールも、病院の夜勤勤務と同様に、オンコール手当がつきます(手当の額は各事業所による)。
私も勤務当初は、「稼いでみたい!」の思いで、やる気に満ちあふれていました。
しかし実際に担当してみると、いつ電話が鳴るかわからず、ひやひや。あの利用者さん体調どうかな、連絡来ないな、もやもや。今夜は電話鳴らないかな、どきどき。
結局、常に緊張状態が続くのです。(笑)
また、夜間に電話が鳴って飛び起きることもしばしば。眠っている頭をたたき起こし、看護師スイッチを入れて切り替えるのもたいへん!そもそも眠いし、きつい。これは想像以上にきつい、と感じました。「オンコールが鳴るたびに、この仕事は無理って思う。」そんな声も実際によく聞くのです。
一番辛いのは、体調の悪い利用者さんなのは重々承知の上ですが、医療者として責任をもちお仕事をするので、精神的にも負担は大きいですね。
冒頭にもお伝えしたように、現在全国的に在宅医療の需要が高く、訪問看護ステーションには24時間緊急対応ができることが、最も求められています。オンコール対応のできる訪問看護師が必要とされているということです。しかしながら、現状は育児などの家庭の事情、業務の過酷さから、オンコール対応ができる看護師が少なく、閉鎖になってしまう事業所も多いと聞きます。
こればかりは、オンコール対応のできる看護師さんが増えて、個々のオンコール当番をできるだけ減らすことしか、負担の軽減にはつながりません。もしくは、オンコール手当を拡充するか。各事業所で、スタッフの負担の聴取も確実に行っていくべきかもしれませんね。
訪問看護がきつい!から、「楽しい」「続けたい」へ変換できるように
いかかでしたでしょうか?現場で働く訪問看護師のリアルな声・思いとともに、訪問看護のきつい!について、お伝えさせていただきました。
これは病院勤務でも、どの現場で働く看護師にとってもいえることかもしれませんが、働く上での人的環境・余裕、賃金、休暇など、まだまだ改善していく点が多いですよね。
私は急性期病院や透析病院での勤務も経験しましたが、訪問看護が一番楽しい、やりがいがある、と感じました。ただ、10年、20年と先をみたときに、自分の体力がどうだろう、、、?と不安になる面もありました。
しかし、やっぱり訪問看護は、看護の原点にかえれるような、看護が好きな人にとっては最高の現場だと思っています。訪問看護の楽しさについては、こちらの記事をご確認ください。訪問看護師って楽しいんだ
今回お伝えした「きつさ」を踏まえたうえで、「でも良い仕事だよね」「やっぱり続けるしかないよね」そんな風に思い、今日も看護をしてくださる看護師さんたちに、心からエールを送りたいと思います。
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